『浮世の画家』(カズオ・イシグロ)

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ノーベル賞作家・カズオ・イシグロの初期の作品『浮世の画家』を読む。

 

戦争に加担した作風で尊敬を受けていたが、終戦を迎えたことで真逆の評価になってしまった画家の話。

 

それが、小津安二郎映画みたいな感じで進んで行くのが、意外でした。

 

「独善」を批判する主人公の画家、本人が自覚していないんだけど、実はすごく独善的というキャラクターがよくできてる。

 

映画「日の名残り」のアンソニー・ホプキンスのキャラは、既にここに現れていたのだなあ。

 

 

 

『オリンピア−ナチスの森で』(沢木耕太郎 著)

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ナチスドイツ政権下で開催されたベルリンオリンピックの記録映画を監督したことで、プロパガンダ映画に加担したと戦後批判を受けたレニ・リフェンシュタール(インタビュー時では90歳くらい)へのインタビューから始まり、

 

ベルリンオリンピックに出場した選手たちの、当時の様子やその後などの文章を交えながらのノンフィクションなんだけど、

 

これがすごくおもしろかった。

 

特に、レニのインタビュー。

 

製作当初は、世界中でその芸術価値から評価を受けたのに、戦後はナチスドイツのプロパガンダに加担したということで、人生が180度変わってしまうのだけど、当時の映像へのこだわりとか、ドキュメント映像なのに、棒高跳びの競技が夜になって撮影できなかったので、後日、再現をしてもらって撮ったフィルムも、混じっていたり、などのエピソードがめちゃくちゃ面白かった。

 

あとは、力を発揮できた日本人選手、そうでなかった日本人選手などのその時の心境なども書かれていて興味深い。

 

当時は、おそらく下関まで鉄道で行って、船で大陸に渡って、そこからシベリア鉄道でベルリンに入っていたんだね。。

何か月もかかるから調整するの大変だったろうな。

 

 

『9番目の音を探して 47歳からのニューヨークジャズ留学』(本)

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ここ二週間、夢中になって読んだ。

 

いつもなら息抜きに、スマホでネットニュースみたり、Twitter覗いたりするんだけど、どんどん読み進めた。

 

大江千里。 昔、よく聞いた名前でした。一時代を築いたシンガーソングライター。

 

何年か前、斉藤由貴映画祭の上演ラインナップで、『君はボクを好きになる』が入っていて、見たんだけど、役者さんとして出られてました。それほど人気あったのだと思います。

 

とはいえ…個人的には、大江千里の歌を直接よく聴いてたわけてわけではなく。。。

 

むしろ、印象に残ってたのは、渡辺美里のデビューアルバム『eyes』 にはいっていた『悲しいボーイフレンド』。

当時、すごくいい曲だなあ、と思って見たら、大江千里作詞、作曲でした。それで記憶に焼き付いたのでした。

 

(Eyesは、まだ、渡辺美里がブレイクする前でデビューしたてだったんだけど、このアルバムがめちゃくちゃ気に入って何回も聴いてた。当時は知らずに聴いてたけど、若かりし日の、岡村靖幸、小室哲哉が楽曲提供していた、というのを、最近知りました。。なぜか渡辺美里熱は、最初のアルバムだけで冷めてしまったんだけど。。)

 

その後、長い間、大江千里さんの名は、意識に入ってこなかった。『モテキ』の漫画とドラマを見るまでは。

大江千里の『格好悪い振られ方』という曲をエピソードがありましたね。

懐かしいなあ、と思ったけど、またしばらく途切れました。

 

最近、Twitterで流れてくる記事で大江千里さんの名前を目にするようになりました。

『ブルックリンでジャズを耕す』という本を出したとかで。東洋経済新報の記事でインタビュー見ました。

音楽というより、ライフシフトという文脈で取り上げられていました。

(厳密にいうなら少しまえに、あざらしが個人的に始めた勉強の文脈で、ちらほら名前を目にするようになっていたんだけど)

 

 

 

 

 

 

 

大江さん、47歳で、ポップスの実績を投げ捨てて、ニューヨークの音楽学校にジャズを学びに留学していたのでした。

『ブルックリンでジャズ』の本は、卒業と同時に、ニューヨークでレーベルを立ち上げ起業した話を中心に書いているらしく、妙に興味をかきたてられ、読みたい!と。 買おうと思ったら、その前に、留学の時の体験記を綴った『9番目の音を探して』という本があることに気づき、それを先読んどこう、となったのでした。

 

『9番目の音を探して』

 

 

超当たり! めちゃくちゃ面白かった。

『のだめカンタービレ』の世界とどこかで紹介されていたけど、映画『セッション』の世界。

 

 

音楽については門外漢なんだけど、英語が第二外国語というハンデの中での、先生とのやりとりや、クラスの中でバンドを組む際のクラスメイトたちとのやりとりが、自分の過去の体験ともろかぶりで、自分のことのように読んだ。

 

20代の生徒たちに混じって、苦労するさまには心打たれます。心が熱くなる。

長年ポップスで染み付いた癖が、ジャズを演奏する上で邪魔するらしく。他のクラスメイトとかに、この中にジャズになってないやつがいる、なんて言われたり。。無視されたり。。それでも、大江さんは、プライドを捨てて食いついていく。。

気の合う仲間や共感する仲間を見つけて、やっていくもがいている姿に、じわーっと来る。

大江さんの視点が優しい。もちろん嫌なやつもいるけど、出会う仲間もみんな魅力的。

ジャズをもっと知りたくなる。

 

ほんとに読ませる。すごい文章力。途中何回か泣いてしまった。。

本の魅力を上手く伝えられないのが悔しいけど、創作を志す人にとっても、すごく考えさせられ、勇気をもらえる。

とはいえ、単純に歯を食いしばって頑張りました的なものではなく、大江さんの、昔のように単にガムシャラだけでなく、第二の人生を自分のペースで歩んでいこうと、再構成していこうとする様が、人生の折り返しすぎたライフシフトという観点でもすごく示唆的でした。だから、東洋経済新報の記事が心にひっかかったんだなと思います。

 

追記:

自分が知らなかっただけで、『9番目の音を探して』って、これまで5刷を数えるヒットだったようです。

アマゾンのレビューも、二十人ほどの人がすべて満点だし。あざらしも、文句なし、五つ星でした。

ボリュームはあるけど内容はめちゃくちゃ濃い。

 

次は『ブルックリンでジャズを耕す』読み始めます。

 

『希望荘』宮部みゆき著(小説)

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『名もなき毒』『ペテロの葬列』などのシリーズ最新作。

 

これまでのも強烈に面白いけど、これもまた、短編だけと読み応えあるなあ。

 

こんなの書けるのすごいな、ほんと人間の奥底に潜む闇とか、弱さ、怖さ、洞察力がすごいし。。

 

一つ一つの話が、どこに向かうのか。。

 

予測つかない感じだけど、ちっとも奇をてらう感じでもなく。

 

よくこんなプロット書けるんだな。すごいなあ。。

 

でも、人間ドラマがしっかりあって。

 

単にお涙頂戴に陥ることもなく。

 

『砂男』の話、悲しいなあ。

 

『希望荘』のドキドキしながら読んだ。

 

あんまりプロットの展開に感心して、友達に勧めてもらって、むかし買った『ミステリーの書き方』を引っ張り出して、

 

宮部みゆきのプロットについてのインタビューを読み返そうと思って、本を取り出した。

 

けど、プロット分析の題材の本が、『魔術のささやき』という本でまだ読んでいないので。

 

どうせならそれ読んでからにしようと思う。

 

これで、ミステリー読むぞプロジェクト、数年越しの43冊目。。42冊目割愛。

 

 

 

 

『虎の牙』(小説)

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武田信玄一代前の、甲斐の国を舞台設定にしたところが面白いし、

 

信玄の父、信虎の謎の弟(山の民として育てられた)と、別の国で罪を犯して流れ着いた信胤が、『呪い』を背負いながら、信虎を支えていく、という話。

 

山の民として育てられたところから突然、武士になって、というキャラクターが新鮮。

 

ちょっと粗削りな感じがしないでもないけど、合戦シーンが迫力あって、引き込まれる。

 

作家さんの次回作とか読んでみたい。

 

 

『悪寒』(井岡瞬 著)小説

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(ネタばれ注意)

 

主人公(夫)になかなか感情移入しづらかったけれど、いつも庇い立てする優等生の姉と、あまりに違いすぎる姉に自分はもらわれ子じゃないのかと劣等感を感じてこじらせてしまった妹の話として読むと面白かった。しかも、もらわれ子のずらし方も。

 

ミステリー読むぞプロジェクト、数年越しの41冊目。。

 

 

『プライベートバンカー』(ノンフィクション)本

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シナリオと並行して、とある勉強をしているのですが、その先生が授業で薦めていた本。

 

節税のために、シンガポールに移り住んだ富裕層、その富裕層の資産を管理することで利益を上げようとするプライベートバンクと、そうはさせまいとする国税局の話。

 

以下、ネタばれ注意。。。

 

 

日本の高い税金を逃れ、富裕層の税制優遇が大きいシンガポールに拠点を移す富裕層なんだけど、一年のうち半分は日本を離れていないといけない。しかも、それを最低5年はそんな生活をしないといけない。お金はあるけど、やることがない。特に現地の言葉を自由自在に使えるわけでもない。狭い日本人コミュニティーに顔を出し、暇をつぶす毎日…

5年経つのをいまかいまかと待っている。同じように相続する子供も、そこにいなければならない。

そうすると、自分で望んでそこにいるわけではない奥さんが、やはり日本に帰りたいとなる…結構、家庭崩壊してしまうことがあるそうです。

国税局も手をこまねいて見ているわけではない。10年になるとかまことしやかにうわさされている。そんな世界があるんだなあ、と自分とは縁遠い世界だけど。。

 

メインプロットは、シンガポールのプライベートバンクのジャパンデスクからヘッドハントされ、一大決心して、日本からシンガポールへと出かける一人のビジネスマン、杉山さんの視点でメインで進み、また、現地で雇われた女性社員の視点もはいる。

 

杉山さんが、どんだけ頑張っても、同じ日本人上司に手柄を奪われていく様に、やっつけろ、と思わず応援したくなった。

 

あと、興味深いのが、税制優遇のタックスヘイブン、オフショアに、日本の国税局が潜入というかたちで、調査員を送り込んでいること。それが女性だったりする。日本国内では、税金の査察に対して拒否できないことになっているんだけど、そこは国外ということで、同じ権限を通すことはできない。だから、活動も、おおっぴらにできないので、そういうかたちになるようです。

 

最後の、どんでん返し?(プライベートバンカーに資産を横領されそうになって、消されかけた資産家の話)も、なかなかショッキングだったな。結局狙われる資産家は、先に言ったように、向こうに移り住んで奥さんが嫌になって帰ってしまったりして、係累のない土地で、一人になってしまった高齢のひとだったりする。その人が騙されて消されてもわからないので。。ひやぁ。こわい。

 

この本を書いたのが、清武英利さん。

元巨人軍の球団代表で、ナベツネを告発した、清武の乱で有名な人。

あまりにもその時の、政治的なイメージが強烈すぎて、元々、新聞記者(ライター)だったということをつい忘れてしまうんだけど、読み物としてすごく面白かった。

 

まあ、自分が超富裕層になって、シンガポールに移り住んで。節税なんてことは起こりえないことだけど、お金があったらあったで、別の悩みがあるんだな。。

 

 

『吉原手引草』(小説)感想

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吉原という特殊で狭い世界を描いているのに、なんだこの重厚感。

(直木賞受賞作だったのね・・・知らずに読んでました)

 

ある事件を引き起こし、忽然と姿を消した葛城という花魁を、吉原に生きる様々な人の視点で語らせることで、多面的に描いていく時代ミステリー。

 

何がほんとで何が嘘か。吉原という嘘の世界だからこそ、そこにある本当の気持ちがすごく切なくて、カタルシスともなって。。

 

最初は、『藪の中』みたいな方式で語られる構成が、確かに吉原という特殊な世界にいざなってくれる上で、都合のいい体裁だとは思うんだけど、とにかくまどろっこしい気がして仕方なかった。

 

んだけど・・折り返し地点から、葛城と平様、生い立ちへと踏み込んでいくあたりから、最初に仕込まれた伏線がグングン生きてきて。

 

すごいもの読ませてもらった、という感想。

 

追記:

 

これをミステリーとカウントずるなら、ミステリー百冊読むぞプロジェクト、これで40冊目。(数冊はちょっとブログではあげたくないのでカウント飛んでます)。ほんと何年かかってんだ。。

 

 

『キレる私をやめたい〜夫をグ―で殴る妻をやめるまで』(エッセイマンガ)

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素直にいい本だなと思う。

 

夫のDVは力加減が大変なことになるので、問題になるけど、奥さん側が殴る分には、別にけがさせるほどでもないし、顕在化しにくいけど、こういう人、世の中に結構いると思うし、苦しんでいると思う。

 

でも、これはまずいと気づいて、自分と向き合うというところまで行くのは正直難しい。

 

マンガの著者は、自分がキレる時、決まって襲ってくる感情に気づく。

 

子供のころ、母親からダメな子とレッテルを貼られていた著者は、大人になっても、この場合は対、夫という局面で、同じ感情を突き付けられ、心の中でパニックに陥って、爆発してしまう。。

 

女の人に限らず、こういうふうにして、怒りへと着火するのは、自分の身に照らしても、そうかもしれないな、と思う。

 

マンガを読んですぐ怒りをコントロールできた、ということはなかったけど、いいヒントをもらえた気がする。

 

マンガで紹介されていた、『家族連鎖のセラピー ゲシュタルト療法の視点から』という本も、早速買ってみた。

 

買っただけでまだ読めてないけど。。ぜひ読んで試してみたい。

 

 

 

『人気海外ドラマの法則21 どうして毎晩見続けてしまうのか』(本)

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海外ドラマほれほど、たくさん見たわけではないけど、やっぱり見ると面白くて。

 

でも、なんであんなに面白いんだろな、予算規模が違うというのもあるんだろけど、見だすと夢中になって次も次もとなる。

 

そんな秘密を知りたいと、こんな本を手に取る。

 

装丁はムック本に見えるけど、シナリオライター向けに書かれたもの。

 

構成がどうのキャラクターがどうの、売り込むべきテレビ局でも、ネットワークなのか、ケーブルテレビなのかで、売りポイントをどこに強調するかなど、どうやったら視聴者を引き付けるか、テレビ局に企画を買ってもらえるかなどが説かれています。

 

まあ、アメリカと日本では状況が違うというのもあるんだろうけど、テレビドラマのシリーズの構成の仕方など、書かれている本はあまりないので、勉強になる。

 

それにしても・・・アメリカの脚本家ってドラマを回すうえで、めちゃくちゃ重要な役割を果たしているんだな。

 

プロデューサー的なポジションも兼ねてたり、ショーランナーとしてシリーズ構成をしてたり。

 

日本ではあんまりそういうのなさそうだから、へえーと思いながら読んでました。

 

追記:

 

書くことを一息休憩していたので、こういう本を読みながら創作モードへと戻している途中・・

 

 

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