『新釈 走れメロス 他四篇』 森見登美彦著

本・読書 comments(2) trackbacks(0) あざらし

JUGEMテーマ:読書感想文

 

このあいだの『太陽の塔』で味をしめて、森見登美彦を他にも読んでみることに。

 

『読まずに小説書けますか』という本で、コメディジャンルとしてのおすすめの中に上がっていたのが、

 

森見登美彦で、とくにこの『走れメロス』が絶賛されていたこともあり、ちょっと読んでみたくなった。

 

ちゃんと覚えてないけど、森見さんのことを、とにかく小説の読み込みがすごい人なんじゃないかと褒めていた。

 

この『新釈 走れメロス』。太宰治の走れメロスの他、4編入っている。

 

文豪さんたちが残した古典を本歌取りして新しい小説として書かれたもの。

 

恥ずかしながら…山月記以外、読んだことない。。

 

なので、森見版を読む前に一作品ずつ本歌となった古典をちゃんと読むことにした。

 

前に読んだ、中島京子の『FUTON』も、田山花袋の『蒲団』と比較することで驚きやなるほどと思えるところがいっぱいあったので。

 

しかもこの機会をつかって古典も読んじゃおうと思ったのでした。

 

幸いにも、Kindleだと、以下の古典4作品、0円でダウンロード出来て読めます。

 

 

中島敦『山月記』

中島 敦 新潮社 2003-12
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中島敦…結構好きで学生時代読んだな。。。と思いつつ、森見版を読む。

主人公は、物書きを目指して何年も留年している京大生が主人公。

ああ…なるほど、現在でしかも森見ワールドだとこういう解釈でこうリメイクされるんだ。

うん、早速面白い。

 

芥川 龍之介 講談社 2009-08-12
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芥川龍之介『藪の中』

芥川龍之介の作品では、平安時代かなにかの、殺人事件をめぐって、色んな登場人物の言い分が少しずつずれていて、何が本当か分からない、まさに藪の中、な、お話なのだけど、

森見版は、やっぱりまた京大生が主人公で、こんどはある自主製作の映画を巡っての、男女の恋愛関係の話になってる。

自主製作映画に絡めての話になってるのが、面白いアイデアだな。。

 

太宰治『走れメロス』

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走れメロス。太宰のは、友人との約束を守るために、走る主人公の話。

というか古典は、面白かったんだけど、メロスが友人に断りもなく人質に推薦したりして、もうわけわからん。

唐突過ぎるのが逆に新鮮。。

なんだけど、森見版は、主人公は京大の詭弁論部(!?)に属する男で、校内自治を牛耳る組織に、約束を守らなければ、構内で、ブリーフ1枚で踊らされるという話なんだけど、なんと主人公は、意地でも親友との約束を守るまいと、京都市中を逃げまわる…

かなり笑えた。詭弁論部ってなんだ!とまず、笑う。

 

 

坂口安吾『桜の森の満開の下』

坂口 安吾 岩波書店 2008-10-16
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今回収録されている森見版の中では、おーっ!すごいと思って、しかも、ほんとに心にじわーっと切なく来た。

坂口安吾の『桜の森の満開の下』は、読んでみて、実はテーマ的なものをうまくつかめなかった。

つかみきれないんだけど、面白くて、わけがわからないんだけど、ぐいぐい引き込まれる不思議な魅力があって。。

と、もやもやしたまま森見版を読んだら。。はあ…森見さんはそう解釈したのか。。溜息。なるほど。

もしかして坂口安吾も実生活のそういう体験をすごく抽象化して書いたんじゃないかと思わせるくらい。

森見版、良すぎ。切ない。たぶん、自分で創作したことある人なら、もっとその気持ちが分かるのではないかと思う。。

しかも、森見版の山月記で、自尊心が高すぎて××になってしまった男がここにも登場して、それがまた切なさを足してるんだよな。。

この5篇の中ではこれが圧倒的に好き。これ読めただけでも価値あったと思う。

 

 

森鴎外『百物語』

 

これはちょっと森鴎外の話は、魅力的でやっぱり読み進めてしまうんだけど、テーマよくとらえられなかった。

百物語自体の話でもないのね…百物語の会を聴きに言くんだけど、そこにいる人たちを傍観者的にどうしても捉えてしまう、自分というものがいて、入りきれない、なんだろ、疎外感についてのことをかたってるんだろうか。。

ちゃんとこれも森見ワールドになているんだけど、うーん、これは自分の読みこむ力とかがなくて、面白いけど…

すみません、うまくコメントできません。。

 

 

と、どれも聞いたことのある作家で、どれも題名くらいは耳にしたことあるけど、読んでませんくらいの誰もが知ってる文豪さんの短編小説を森見さんなりに捉えているものなんだけど、とにかく、

 

全体の感想。すごい!すごい!

 

『読まずに小説書けますか』ですごく褒められてたけど、読み終えて、ほんとにそう思った。

 

森見さんがあとがきでも語っていたとおり、古典を、自分ならどう書くかって考えながら、みたいなことが書かれていたけど、なるほど、そうか古典でそういう読み方してもいいんだな。。

 

面白かった。

 

 

森見 登美彦 KADOKAWA/角川書店 2015-08-25
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    コメント一覧

    読まずに小説書けますか・・・確かに、心にズシーンとくる言葉です。
    古典を自分ならどう描くか?そう考えるとさらに深く読み込まなければならず、理解が深まるのかも。。。
    森見登見彦はやっぱり京大生が主人公ってのが定番ですね。
    苦手な森見登見彦、ひさしぶりに手をのばしてみようかな。

    • oさん
    • 2016/11/28 8:24 AM

    私も「夜は短し…」は、最後まで読めなかったんですが…
    久々に別の作品読み出したら、なぜかはまってしまってます。
    その時の心境なのか、読みやすくなってるのかはわかりませんが。。

    • あざらしさん
    • 2016/11/28 5:57 PM
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