『9番目の音を探して 47歳からのニューヨークジャズ留学』(本)
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JUGEMテーマ:読書感想文
ここ二週間、夢中になって読んだ。
いつもなら息抜きに、スマホでネットニュースみたり、Twitter覗いたりするんだけど、どんどん読み進めた。
大江千里。 昔、よく聞いた名前でした。一時代を築いたシンガーソングライター。
何年か前、斉藤由貴映画祭の上演ラインナップで、『君はボクを好きになる』が入っていて、見たんだけど、役者さんとして出られてました。それほど人気あったのだと思います。
とはいえ…個人的には、大江千里の歌を直接よく聴いてたわけてわけではなく。。。
むしろ、印象に残ってたのは、渡辺美里のデビューアルバム『eyes』 にはいっていた『悲しいボーイフレンド』。
当時、すごくいい曲だなあ、と思って見たら、大江千里作詞、作曲でした。それで記憶に焼き付いたのでした。
(Eyesは、まだ、渡辺美里がブレイクする前でデビューしたてだったんだけど、このアルバムがめちゃくちゃ気に入って何回も聴いてた。当時は知らずに聴いてたけど、若かりし日の、岡村靖幸、小室哲哉が楽曲提供していた、というのを、最近知りました。。なぜか渡辺美里熱は、最初のアルバムだけで冷めてしまったんだけど。。)
その後、長い間、大江千里さんの名は、意識に入ってこなかった。『モテキ』の漫画とドラマを見るまでは。
大江千里の『格好悪い振られ方』という曲をエピソードがありましたね。
懐かしいなあ、と思ったけど、またしばらく途切れました。
最近、Twitterで流れてくる記事で大江千里さんの名前を目にするようになりました。
『ブルックリンでジャズを耕す』という本を出したとかで。東洋経済新報の記事でインタビュー見ました。
音楽というより、ライフシフトという文脈で取り上げられていました。
(厳密にいうなら少しまえに、あざらしが個人的に始めた勉強の文脈で、ちらほら名前を目にするようになっていたんだけど)
大江さん、47歳で、ポップスの実績を投げ捨てて、ニューヨークの音楽学校にジャズを学びに留学していたのでした。
『ブルックリンでジャズ』の本は、卒業と同時に、ニューヨークでレーベルを立ち上げ起業した話を中心に書いているらしく、妙に興味をかきたてられ、読みたい!と。 買おうと思ったら、その前に、留学の時の体験記を綴った『9番目の音を探して』という本があることに気づき、それを先読んどこう、となったのでした。
『9番目の音を探して』
超当たり! めちゃくちゃ面白かった。
『のだめカンタービレ』の世界とどこかで紹介されていたけど、映画『セッション』の世界。
音楽については門外漢なんだけど、英語が第二外国語というハンデの中での、先生とのやりとりや、クラスの中でバンドを組む際のクラスメイトたちとのやりとりが、自分の過去の体験ともろかぶりで、自分のことのように読んだ。
20代の生徒たちに混じって、苦労するさまには心打たれます。心が熱くなる。
長年ポップスで染み付いた癖が、ジャズを演奏する上で邪魔するらしく。他のクラスメイトとかに、この中にジャズになってないやつがいる、なんて言われたり。。無視されたり。。それでも、大江さんは、プライドを捨てて食いついていく。。
気の合う仲間や共感する仲間を見つけて、やっていくもがいている姿に、じわーっと来る。
大江さんの視点が優しい。もちろん嫌なやつもいるけど、出会う仲間もみんな魅力的。
ジャズをもっと知りたくなる。
ほんとに読ませる。すごい文章力。途中何回か泣いてしまった。。
本の魅力を上手く伝えられないのが悔しいけど、創作を志す人にとっても、すごく考えさせられ、勇気をもらえる。
とはいえ、単純に歯を食いしばって頑張りました的なものではなく、大江さんの、昔のように単にガムシャラだけでなく、第二の人生を自分のペースで歩んでいこうと、再構成していこうとする様が、人生の折り返しすぎたライフシフトという観点でもすごく示唆的でした。だから、東洋経済新報の記事が心にひっかかったんだなと思います。
追記:
自分が知らなかっただけで、『9番目の音を探して』って、これまで5刷を数えるヒットだったようです。
アマゾンのレビューも、二十人ほどの人がすべて満点だし。あざらしも、文句なし、五つ星でした。
ボリュームはあるけど内容はめちゃくちゃ濃い。
次は『ブルックリンでジャズを耕す』読み始めます。
大江千里・・・すごいですよね。
50を前にしての決断!キャリアを捨てて。
しかもこの本、3年も前に出てたんですね。
読んでみます!